一度


結果から結果を作る
飜訳の悲哀――
尊崇はたゞ
道中にありました

再び巡る道は
「過去」と「現在」との沈黙の対坐です

一度別れた恋人と
またあたらしく恋を始めたが
思ひ出と未来での思ひ出が
ヲリと享楽との乱舞となりました

一度といふことの
嬉しさよ



青空文庫より引用