想像力の悲歌


恋を知らない
街上の
笑ひ者なる爺やんは
赤ちやけた
麦藁帽をアミダにかぶり
ハツハツハツ
「夢魔」てえことがあるものか

その日蝶々の落ちるのを
夕の風がみてゐました

思ひのほかでありました
恋だけは――恋だけは



青空文庫より引用