歓喜

歓喜
中野鈴子

思っただけでも胸がおどる
裸一貫のわたしらが堂々と乗りこんでゆき

おお
このわたしら
わたしらのタコだらけの手
真黒に焼けたおでこ

ただ一つの心臓
二本の足
二本の腕に
あらゆる権力と最上の美しさを打ちたてる日
働いて笑える
働いて肥える
おお
その日、その世界よ
思っただけでも胸がおどる



青空文庫より引用