水部の線

水部の線
宮沢賢治

きみがおもかげうかべんと
夜を仰げばこのまひる
蝋紙に描きし北上の
水線青くひかるなれ

竜や棲みしと伝へたる
このこもりぬの辺を来れば
夜ぞらに泛ぶ水線の
火花となりて青々と散る



青空文庫より引用