遊園地工作

遊園地工作
宮沢賢治

歳は世紀に曾つて見ぬ
石竹いろと湿潤と
人は三年のひでりゆゑ
食むべき糧もなしといふ

稲かの青き槍の葉は
多く倒れてまた起たず
六条さては四角なる
麦はかじろく空穂しぬ

このとききみは千万の
人の糧もてかの原に
亜鉛のいらか丹を塗りて
いでゆの町をなすといふ

この代あらば野はもつて
千年の計をなすべきに
徒衣ぜい食のやかららに
賤舞の園を供すとか



青空文庫より引用