天幕の破れ目から見ゆる砂漠の空の星、駱駝らくだの鈴の音がする。背戸せど田圃たんぼのぬかるみに映る星、籾磨歌もみすりうたが聞える。甲板に立って帆柱のさきに仰ぐ星、船室で誰やらがあくびをする。
 (明治三十二年十月『ホトトギス』)



青空文庫より引用