歌舞妓芝居後ありや


 
 
音羽屋六代の主 尾上菊五郎歿す。その日遥かに能登にあり。我また、
ワタクシのほとけ を持ちて、盂蘭盆の哀愁、愈※ 切なるものあり。
 
 

亡びなきものゝ さびしさ。永久トハにして ナホしはかなく、人は過ぎ行く

 
 
自らツクる所の戒名 芸術院六代菊五郎居士と言ふと伝ふ。
もの思ふことカレの如く深く、之を表すこと彼の如くセツにして、なほ知識
短きこと斯くの如きに、人は、ほと/\哭かむとす。
 
 

酔ひ深く いとゞ五斗ゴトウの舞姿 しづかに澄みて、入りゆけるはや



青空文庫より引用