新秋の記


台所の片隅から吹いてくる
あの風ももう秋だ
白いさら
新豆腐のようにおどろきやすいこころよ

裏の林にきて
しばらく夕焼をながめている
川瀬の音
秋風の音

子どものために
わくら葉ひろつてふところにする
わくら葉にも美しい夕焼がある

もう走り穂がかぞえられ
みちばたにこぼれ生えの刀豆なたまめ
青いさやを垂れている
一列にうすあかい実がならんでいる



青空文庫より引用