交歡記誌


みどりに深き手を泳がせ
涼しきところに齒をかくせ
いま風ながれ
風景は白き帆をはらむ
きみはふんすゐのほとりに家畜を先導し
きみは舞妓たちを配列し
きみはあづまやに銀のタクトをとれ
夫人よ、おんみらはまた
とく水色の籐椅子といすに酒をそそぎてよ
みよ、ひとびときたる
遠方より魚を光らし
淫樂の戲奴は靴先に鈴を鳴らせり。
ああ、いま新らしき遊戲は行はれ
遠望の海さんさんたるに
われ諸君とゆびさし
眺望してながく塔下に演説す。



青空文庫より引用