歡魚夜曲
歡魚夜曲
萩原朔太郎
光り蟲しげく跳びかへる
夜の海の青き面をや眺むらむ
あてなき瞳遠く放たれ
息らひたまふ君が側へに寄りそへるに
浪はやさしくさしきたり
またひき去る浪
遠き渚に海月のひもはうちふるへ
月しらみわたる夜なれや
言葉なくふたりさしより
涙ぐましき露臺の椅子にうち向ふ
このにほふ潮風にしばなく鴎
鱗光の青きに水流れ散りて
やまずせかれぬ戀魚の身ともなりぬれば
今こそわが手ひらかれ
手はかたくあふるるものを押へたり。
ああかの高きに星あり
……………
しづかに蛇の這ひ行くごとし。
青空文庫より引用
萩原朔太郎
光り蟲しげく跳びかへる
夜の海の青き面をや眺むらむ
あてなき瞳遠く放たれ
息らひたまふ君が側へに寄りそへるに
浪はやさしくさしきたり
またひき去る浪
遠き渚に海月のひもはうちふるへ
月しらみわたる夜なれや
言葉なくふたりさしより
涙ぐましき露臺の椅子にうち向ふ
このにほふ潮風にしばなく鴎
鱗光の青きに水流れ散りて
やまずせかれぬ戀魚の身ともなりぬれば
今こそわが手ひらかれ
手はかたくあふるるものを押へたり。
ああかの高きに星あり
……………
しづかに蛇の這ひ行くごとし。
青空文庫より引用