磨かれたる金屬の手


手はえれき 、
手はぷらちな 、
手はらうまちずむ のいたみ、
手は樹心に光り、
魚に光り、
墓石に光り、
手はあきらかに光る、
ゆくところ、
すでに肢體をはなれ、
炎炎灼熱し狂氣し、
指ひらき啓示さるるところの、
手は宙宇にありて光る、
光る金屬の我れの手くび、
するどく磨かれ、
われのをめしひ、
われの肉をやぶり、
われの骨をきずつくにより、
恐るべし恐るべし、
手は白き疾患のらぢうむ 、
ゆびいたみ烈しくなり、
われひそかに針をのむ。



青空文庫より引用