いとしや
いとしや
この身の影に鳴く蟲の
ねんねんころりと鳴きにけり
たれに抱かれて寢る 身ぞや
眞實我身は獨りもの
三十になるといふ
その事の寂しさよ
勘平さんにはあらねども
せつぷく しても果つべきか
ても因業なくつわ蟲



青空文庫より引用