遠望


さばかり悲しみたまふとや、
わが長く叫べること、
煉瓦の門に入りしこと、
路上に草をかみしこと、
なべてその日を忘れえず、
いはむや君が來し方を指さし、
かの遠望をしたたむる、
あはれ、あはれ、
わが古き街の午後の風見よ。
 (厩橋暮日篇より)



青空文庫より引用