郊外


かしこに煙の流るる
空はつめたくして
草はあたたかに萌えたり
手はくみて歩めども
よそゆきの着物のにほひ侘しきに
秋はうららに落ち來り
日向に幹木の愁ちらばふ
晝餉どき
停車場のほとりに出で
わづかなる水をたうべしに
工人の居て
遠き麥畑を指させり
 (一九一三、九、二四)



青空文庫より引用