御霊うぶや


うごめく は これ 何者 ぞ、
牢獄 に 等しき やみ を――
ひとつ か と まなこ うれば、
その数 は 増して 行く なり、
まとへる ぞ みな すみごろも――
黒法師――無為むゐ の 行列。
暗き より 暗き に 入りて、
かへり見る 光 だに なし。

わがたま の なやむ 産屋うぶや か。
相向ふ かゞみ の 法師、
相映り、幾多 生まるゝ
代 の かげ の 並ぶ その よ。
その脊 をば いくつ 越ゆとも、
この 無言、つひに 死 ぞ なき。



青空文庫より引用