仔牛


仔牛は日向に
たつてゐた

細い四足すつきり伸びて
さいひづめは繁縷はこべらふんで。

日永、半日
たつてゐた

青いお目々は牡丹をみつめ
黝いお鼻は匂ひにぬれて。

すると日暮にお角が生えた。
空に小さく三日月でゝた。



青空文庫より引用