雀の歌


小さい卵のなかにゐる
かあいゝ坊やよでゝおいで、
みんなはおまえを待つてゐる。

お空は青くはれてゐる、
坊やのお歌を待つてゐる。

梢の空気は澄んでゐる。
小麦は軒端にこぼれてる。

お花畑は呼んでゐる、
遊びにおいでと呼んでゐる。

光はいつぱいみちてゐる。
神様までが待つてゐる。

坊やよ坊やでゝおいで、
黄色いくちからでゝおいで、
母さん「ばあつ」とでゝおいで。



青空文庫より引用