滅亡の喜び 一 我が肢しは甘くたるみて痛む頭かしらもこゝろよし、この頭くらく、めくるめくとき、失ひし楽園は幻に見ゆ。 二 手はふるひ、足はよろめくさながら、酔ひどれが家路へかへるにも似て、地獄の門に倒れ入らん。 三 滅びよ、滅びよ、いとしき我が身、急げよ、たのしき地獄の門へ。すべてのものゝ存在せざる其処そこにこそ我が失ひし楽園はあれ。青空文庫より引用