ありや二曲


   ×

えこそ忘れめや
そのくちづけのあとやさき
流るる水をせき止めし
わかれの際の青き月の出

   ×

雨落し來らんとして
沖につばなの花咲き
海月くらげは渚にきて青く光れり
砂丘をかに登りて遠きを望む
いま我が身の上に
好しと思ふことのありけり



青空文庫より引用