山頂


かなしければぞ、
眺め一時にひらかれ、
あがつまの山なみ青く、
いただきはひたひに光る。
ああ尾ばな藤ばかますでに色あせ、
手にも料紙はおもたくさげられ、
夏はやおとろへ、
山頂いただきは風に光る。
 ――一九一四、八、吾妻ニテ――



青空文庫より引用