拔足差足 忍び寄つた野兎は 蓆圍ひの隙間から 野菜畑に跳びこんだ
とたんに係蹄わなに引かかる 南無三 とんぼがへりを二つ三つ
力まかせに空を蹴る 月を蹴る 月は 山の端にいる
やがて兎は 寢てしまふ 白菜たちが眼を醒す



青空文庫より引用