倦怠に握られた男


俺は、俺の脚だけはなして
脚だけ歩くのをみてゐよう――
灰色の、セメント菓子を噛みながら
風呂屋の多いみちをさまよへ――
流しの上で、茶碗と皿は喜ぶに
俺はかうまで三和土タタキの土だ――



青空文庫より引用