あつき手を挙ぐ

あつき手を挙ぐ
中野鈴子

都会、町、部落、
何処にも
朝鮮の人たち満ち溢れ
働き  たたかい
生活を打ち立て

話す言葉 国語正しく
われら朝夕
親密濃く深まりつつ

出征、入営を送る折々には
先んじて旗振り、万歳を叫ぶ
朝鮮の人たち

朝鮮の人等
手に力こもり、唇は叫びつつ

心の底に徹し得ぬものがあるならん
常にわれかく思い 心沈みし


朝鮮に徴兵制布かる

こころ新たに
あつき手を挙ぐ



青空文庫より引用