校庭

校庭
宮沢賢治

さ霧する白き木柵
幹彫れる桐のいくもと

剥げそめし白きペンキの
木柵に人人は倚り
そのペンキあるいは剥げ
あるものは庭をのぞめり

一鐘のラッパが鳴りて
急ぎ行く港先生
白堊城秋のガラスは
ひらごとにうつろなりけり



青空文庫より引用