画家の午後


雪解けの午後は淋し
砂利を噛む荷車の
轍の遠くきこえ
疲れ心地にふくみたる
パイプの煙をのゝく
室ぬちは冬の日うすれ
描きさしのセント・セバスチアンは
低くためいきす。
電燈のとぼるを待ちつ
われは今 わが心のうつろを眺む。



青空文庫より引用