頌歌


 
はがねの波に
  アベラール沈み
鉛のとも
  エロイーズ浮む
 

骸炭はみをに乗り
直立する彼岸花を捧げて走り
『死』は半ばくちを開いて 水を恋ひ
また おき霊床たまどことする
すべては 緑礬のみづ底に息をつく
象牙だまの腹部のうちら側に



青空文庫より引用