地なる響


暗き 浜辺 を たどり来たり、
水際みぎは 真近く 砂 を 握る。
握る 真砂まさご の もろき うちに、
闇の力 は その尾 振ひ、
手 をば つたひて 胸に 響く。

君よ、御空 の 星 を 説きて、
地なる ひゞき を 忘るなかれ、
遠き 深み の なみ は 寄せて、
幾重 打ちては 畳む 砂 ぞ。
たとへ もろく ぞ 砕け去りて、
手 には 残れる 形 なくも、
永劫とは の 憂ひ を くは 如何に。

暗き 浜辺 に 砂 を 握り、
君に 云ふべき事 ぞ 多き。



青空文庫より引用