純銀の賽


みよわがさいは空にあり、
空は透青、
白鳥はこてえぢ のまどべに泳ぎ、
卓は一列、
同志の瞳は愛にもゆ。

みよわが賽は空にあり、
賽は純銀、
はあと の「A」は指にはじかれ、
緑卓のうへ、
同志の瞳は愛にもゆ。

みよわが光は空にあり、
空は白金、
ふきあげのみづちりこぼれて、
わが賽は魚となり、
卓上の手はみどりをくむ。

ああいまも想をこらすわれのうへ、
またえれな のうへ、
愛は祈祷となり、
賭博は風にながれて、
さかづきはみ空に高く鳴りもわたれり。
 ―八月三十一日―



青空文庫より引用