鐵橋橋下


人のにくしといふことば
われの哀しといふことば
きのふ始めておぼえけり
このまちの人なになれば
われを指さしあざけるか
生れしものはてんねんに
そのさびしさを守るのみ
母のいかりの烈しき日
あやしくさけび哀しみて
鐵橋の下を歩むなり
夕日にそむきわれひとり
 (滯郷哀語篇より)



青空文庫より引用