さかほがひ


 一 

阿古屋あこやの珠を
きたる酒は
のこさで酌まむ。
ほせよさかづき
ほせよ、ほせよ、さかづき
のめや、うたへや、
うたへや、のめや。
あゝ、おもしろ
あゝ、おもしろの
さかほがひ。

 二 
かをりはたかき
さゆりの花は
かざしにさゝむ。
たをれ、かざしに、
たをれ、たをれ、※ 《かざし》頭に
のめやうたへや、
うたへや、のめや。
あゝ、おもしろ、
あゝおもしろの
さかほがひ。

 三 
色さへさへ
たへなるひとを
あかずもこよひ
みるが樂しさ、
みるが、みるが樂しさ。
のめや、うたへや、
うたへや、のめや。
あゝおもしろ。
あゝおもしろの
さかほがひ。



青空文庫より引用