お百度詣


ひとあし踏みてつま思ひ、
ふたあし國を思へども、
あしふたゝび夫おもふ、
女心に咎ありや。

朝日に匂ふ日の本の、
國は世界に唯一つ。
妻と呼ばれて契りてし、
人も此世に唯ひとり。

かくて御國みくに我夫わがつま
いづれ重しととはれなば
たゞ答へずに泣かんのみ
お百度まうであゝ咎ありや
 (明治三十八年一月「太陽」)



青空文庫より引用