日比谷のベンチで


日比谷ひびやのベンチで
雪と愛が悲しいSの字を描いてゐる
青い魚がどこともなく泳いで
空に寒い街並みが映つてゐる
頭の中に恋人の欧文字があつた
てゝある蜜柑みかんの皮は自らを嘲笑わらふ赤い舌である!



青空文庫より引用