(名詞の扱ひに)
名詞の扱ひに
ロヂックを忘れた象徴さ
俺の詩は
宣言と作品との関係は
有機的抽象と無機的具象との関係だ
物質名詞と印象との関係だ。
ダダ、つてんだよ
木馬、つてんだ
原始人のドモリ、でも好い
歴史は材料にはなるさ
だが問題にはならぬさ
此のダダイストには
古い作品の紹介者は
古代の棺はかういふ風だつた、なんて断り書きをする
棺の形が如何に変らうと
ダダイストが「棺」といへば
何時の時代でも「棺」として通る所に
ダダの永遠性がある
だがダダイストは、永遠性を望むが故にダダ詩を書きはせぬ
青空文庫より引用